Airish Review

review 「第32回ホリプロタレントスカウトキャラバン〜 選ばれし少女たち 合宿編〜」(その1)

2007年11月10日放送(CSテレ朝チャンネル)

今年で第32回を迎えたホリプロ・タレント・スカウトキャラバン。決選を二週間後に控えた11月10日に放送された「合宿編」は地方予選を勝ち抜いた23名の本選候補者が東京合宿を始めるところから、そこからさらに選びぬかれた11名の決選候補者がグアム合宿を終えるまでをレポートした番組です。

放送時間は90分(正味83分)。長くなるのでレビューは2回に分けてお送りします。1回目は番組前半の東京合宿のパートのレビューです。レビューでは決選候補者に残った11名を中心に見ていきます。

まず番組では省略された本選までの流れを簡単に紹介しておきます。最初に書類審査があって5月〜7月の募集期間の間に応募されたエントリーシートを元に審査します。番組冒頭で紹介された応募総数51,923通というのはこのことです。これにパスすると8月から地方予選です。

東京地区では1000人くらいが残っていたようで、三段階くらいの審査を経て最終的には数名までに絞り込まれたそうです。愛莉さんはこの狭き門を潜り抜けました。8月の末のことです。わりと名の知れた子役経験者がこの予選を通過できなかったという話もききました。相当に厳しい戦いだったようです。

そして9月15日から三日間、各地方予選を通過した候補者23名が集結する東京合宿が始まります。番組本編は候補者たちが東京の合宿所に到着するところから始まります。ここで到着した候補者の心境を軽く(10 秒程)インタビューしていました。順に、足立梨花、入来茉里、西谷麻里、の三名。

候補者たちは、レッスン着(TBS の番組見学の時に着ていたあの服)に着替えた後、会議室に集まって合宿の説明を受けます。ここで10 月の二度目の合宿がグアムだと告げられます。盛り上がる候補者たち。愛莉さんも笑顔で「おーっ」っという顔。

しかしその直後、グアム行きは全員ではないこと、合宿が審査になり、最終日に審査結果を発表すること、が伝えられます。会議室の空気がにわかに引き締まり、みな神妙な面持ちに。

東京合宿初日。説明会にて。

説明が終わると早速レッスンが始まります。最初のレッスンは演技のレッスン。ジェスチャーで表現する練習などゲーム感覚の基礎的なレッスンです。愛莉さんは三回ほどアップになりましたが、あまり目立たず、演技のシーンでは顔がほとんど映らない…

このレッスンでまずクローズアップされたのは小西南夏さん。面構えからしてアーティスト系で、ネットでは NANA っぽい などと評判の小西さんですが、みなさん楽しげに演技している中で一人浮かない顔をしています。自己紹介では躊躇いながらも「演技はやりたくない」と明言。歌一本でやっていきたいようです。インタビューでは「疲れました」と苦笑い。

もう一人クローズアップされたのが円谷祐奈さん。人前でうまく自分を出せないのだそうです。このように、この番組では苦手な分野で苦労している人をクローズアップするパターンが繰り返し見られます。基本的に少女の成長を描くというテーマがあるのでしょう。

次のレッスンはダンス。ダンスなら愛莉さんの得意分野、かっこよく練習している姿もアップになったのですが、「なかなかリズムに合わせて踊ることが出来ない少女が多い中、一人、きれいに踊る子が…」というナレーションと共にクローズアップされたのは河合夕佳里さん。ダンス専門学校に通う19歳。確かに上手い。動きにキレがあります。そしてセクシー。これは強敵ですね…

そして初日最後のレッスンはヴォーカル。声質などを見るためにひとりずつ好きな歌をアカペラで歌いますが、ここでは愛莉さんの出番なし。「緊張のため思うように声の出ない少女たちの歌、そんな中…」のナレーションと共にクローズアップされたのは本徳則子さんでした。福岡でライブ活動をしている19歳。さすがに歌唱力はなかなかのものです。でも歌う本徳さんをライバルを見る目でじっと見つめる小西さんの方が気になったり…

その後は発声練習。やはり基本的な練習ですが、それも初めてだったという森田藍さんがクローズアップされてインタビューで感想を。そして初日の締めにスタッフからメッセージ。最後の方ダレてるぞとの厳しいお言葉。ここで悔しそうな顔をしていた丸山晶さんがクローズアップ。18歳の受験生です。夢を追うか受験に専念するかで悩んできたのでしょうか。初日終了後のインタビューは泣き出しそうな顔で応えています。「ここで何もなくて、あ、落ちちゃったけどまあがんばったからいいじゃん、なんて笑って帰れるわけないんですよ、勝ちに来たんで」と思い詰めたよような表情。

二日目最初のレッスンはウォーキング。いわゆるモデル歩きの練習。ここでも愛莉さんは出番なし。クローズアップされたのは後藤由季さん。歩き方がぎこちないということでクローズアップされたのですが、本人曰くリズム感がないのだそうで、何度やってもぎこちなさがとれません。

次のレッスンはバラエティー。グループレッスンで、一人が与えられたお題で絵を描き、残りの人たちが挙手してそれが何か当てるというゲームを通して積極的に発言する力を身につけるというもの。笑顔で説明を聞いていた愛莉さんですが、ゲームが始まると一変。周りが元気良く手を挙げて答える中、全く答えられません。本気で困った顔をしているのが番組スタッフの目についたのでしょうか、ここで愛莉さんがクローズアップです。

バラエティーレッスンでクローズアップされる山本愛莉さん。

インタビューには次のように応えています。

トークが苦手なことについてインタビュー。

トークが、やっぱ、いまいち、すごくできなくて、面白いことを言おうと思ってるわけじゃないんですけど、なんか、喋ろうと思うと、自分が思ってることと、違うことが、ことばが、出て来ちゃって、で、すごいなんか、緊張しちゃって、すごい噛んでしまうんですよ。

たしかに噛み噛みですが… とはいえインタビューでは噛みながらもハキハキ喋れてはいるので、場の空気によるのでしょうか。 YO!キッズの時はもっと喋れていて、爆弾発言もありましたが、そんなの関係ねぇとばかりに積極的に喋っていたんですよね。

年頃になって自意識が芽生えてきて、あそこまでぶっちゃけた感じにはできなくなったんでしょうか。もう子供でないからあの時のようにというのも問題がありますが、どうか一度殻を破ってから自分のスタイルを身につけて欲しいものです。

さて、二日目の午前中にはTBSの『サンデー・ジャポン』『アッコにおまかせ!』のスタジオ見学 があったはずですが、他局の話だからなのか番組中では触れられず、そのまま二日目午後の話に飛びます。

二日目の午後は歌と演技の発表会です。発表の様子が映ったのは丸山さん、森田さん、入来さん、小西さん。小西さんの横には愛莉さんがいたのですが… 小西さんは地元でやっているバンドのオリジナル曲を歌うのですが途中でキーを間違えて中断してしまいます。ここでまた小西さんがクローズアップ。笑って謝っていた小西さんですが「人には絶対負けたくない」という歌で失敗したのは相当悔しかったようです。

そして三日目。合宿最後のレッスンはCM。与えられたお題について即興で10秒間の演技をするというもの。なぜか私服でのレッスンですが、そんなことはお構いなく床に倒れ込んだりして熱演する人も。でも愛莉さんの演技は映らず…

そしてそのまま私服で会議室に集まり、グアム行きの決選候補者の発表。名前が呼ばれた順に、円谷さん、本徳さん、足立さん、入来さん、森田さん、山本さん、小西さん、後藤さん、丸山さん、河井さん、西谷さんです。愛莉さんは6番目。

アメスタスペシャルで愛莉さんは「泣きそうになってたときに名前が呼ばれて、力が抜けて」しまったと語っていましたが、愛莉さんも他の皆さんもわりと淡々と受け止めている感じです。落選した候補者の前では、リアクションがとりにくかったのでしょうか。

その後は発表後控え室に移動した決選候補の11人に軽くインタビュー。愛莉さんのコメントは次の通り。

東京合宿審査に合格して。

すごい、自分にすごい自信がついて、これから、今回、少し苦手だったところを、もうちょっと次の合宿で克服して、もっといいものにしていきたいなと思ってます。

ほっとしたような笑顔で、見ているこちらまでほっとしてしまいますね。

さて、ここまで見てくると、誰が目立っているか、番組スタッフが誰に注目しているかというのが、だいたいわかってきます。決選候補者は全員何らかの形でクローズアップされていますが、クローズアップになった時間には格差があります。グラフにしてみるとこうです。

東京合宿クローズアップ時間

横軸は左から最初にクローズアップされた人から順に並べています。ロック少女の小西さんがダントツです。個性的でキャラが立っていること、レッスン中の険しい表情とは対照的にインタビューでの語りは自然体で好印象というのも効いているのでしょうか。

愛莉さんは7位。ダンスで河井さんに食われてしまったり、番組では演技にはあまりウェイトを置いてなかったりで、結果的に目立たなかったこと、苦手分野の方でクローズアップされてしまったのが残念でした。

意外なのは足立さんと入来さんが最初の一言インタビューだけで、それ以上クローズアップされなかったこと。アイドルっぽいルックスという点ではこの二人がワンランク上と言っても過言ではないと思うのですが… しかしこの二人、特に足立さんは番組中の要所要所でアップで映っていて、印象には残っているのです。番組スタッフ的には「絵になる子」という認識はあるのだと思います。

(その2につづく)

reviewed on 2007-11-18